2015年7月25日土曜日

Neumann U87の修理

Neumann U87の音が急に出なくなった…ということで珍しくマイクの修理です。

U87は御存知の通りNeumannの超定番マイクで、見たことがない人はいないと思います。
現在もレコーディングの現場では歌録りを中心に多用されています。



ひとくちにU87といっても大きく分けて3世代ほど仕様が違うものがあり、名前も初期からU87、U87i、U87Aiというように変遷しており、中身の構造もそれぞれ異なっています。
初期のU87はドイツ規格の7pinコネクタ出力になっていたり、87iまでは専用の内蔵バッテリーで駆動するなどの特長があり、サーキット自体も現行の87Aiとは全く違ったものでした。


今回の患者さんは87iです。(作業台がきたない…)
内部にバッテリーを内蔵するスペースがありますが、このバッテリーはもう流通していないので使うことはありません。赤いスイッチが電源を内蔵/外部(ファンタム)を切り替えるスイッチです。

マイクの故障というと、だいたいカプセル周りの老朽化かタンタルコンデンサーが壊れてショートしているなどの原因が多いのですが、今回チェックしたところそのような様子もなく…。

おかしいなと思い、徹底的に基板をチェックしたところ、なんとFETのゲートが折れていました。


お分かり頂けるでしょうか。
3本足の真ん中が、根本から外れてしまっています。
当然マイクのアンプ部が切断されている訳なので音は出ません。

早速FETを交換したいところですが、この87に乗っていたSK107というFETは既に入手できないものなので同じものは使えません。
となると、スペックが近い代用の半導体を探さないといけない訳ですが…。
2N3819という海外のFETがオリジナルに近いもののようですが、手元にない上に手に入るかどうかも分からないので、東芝製の2SK170を使いました。IDSSの値が大きいBLクラスのものです。(このFETは増幅度が高くローノイズで、音質も信頼性があります)


とりあえず元のFETを外して同じように足を折ります。(左:新しく付けるFET 右:壊れたFET)
これをこうして…。


装着!!
(向きが最初と逆になっているのは、ドレインとソースが元のFETと逆だからです)

さて半導体の交換が完了し、マイクプリに繋いで音が出るかチェックします…。
はたしてどうなるか…。

その結果……見事に復活!
完璧に直りました。

音質も以前と殆ど変わっていないように思います。

さておき、そもそもなぜFETが破損したのか…という原因を探る必要性もあります。
調べたところメインの基板の固定が甘く、若干遊びが生じているようで、それが振動によってぐらつき、カプセル側と基板に跨いで半田付けされているFETの足に負担が掛かっていたようでした。おそらくそれが原因と思われます。

基板とフレームの間にちょっとした細工を施し、しっかり固定させることで再発対策をしました。



といった感じで、珍しくマイクの修理でした。

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