2018年3月17日土曜日

基板頒布その1 BA283P

決算まわりの経理などをやっていたらバタバタしていました……。
そして新しい基板を頒布を始めます。ひとつ目はBA283Pという恐らく国内唯一のNeve BA283のクローンアンプカードです。

Floatia Designs BA283P


詳細は個別のページにも書きましたが、回路そのものはNeveのBA283AVを再現しつつ幾つか改良している部分があります。見て明らかに分かるのは、カードコネクタ方式ではなく直接PCBにワイヤリングするスタイルになっていることです。これにより実装が楽になりました。もちろんカードコネクタだとBA283だけをチェックするときや差し替えは便利なのですが、その度にコネクタが必要であったり後述の外付け部品は別途実装になければいけなかったのでかえって面倒なことが多かったので。ピン配も基板上に書いてあるのでいちいち覚えなくていいですしね。

部品を実装した完成例


BA283の基本的な使い方ではアンプへの電源供給ラインに個別のデカップリング・コンデンサと抵抗、フィードバック抵抗が必要になるのですがBA283Pはそれらも全て基板上で実装できるようになっています。BA283より一回りサイズが大きくなっているのはそのためです。

また原則的にコンデンサ類に関しては品種の指定がありますが、指定部品以外も実装できるような工夫もされています。例えば位相補償のポリスチレンフィルムコンデンサが入手できない場合、5.08mmピッチの別種フィルムコンデンサも実装できる…といった具合にです。

このBA283Pを作れる程度のスキルがあれば、もうわざわざ高いお金を出して海外のNeveクローンを買う必要なんてないかもしれません。これにマイクトランスとアウトプットトランスさえ繋げばいわゆるNeve1272タイプのマイクプリは作れますから。

基本的にPCBのみ、もしくはPCB+半導体のセットで販売します。基本価格は1枚¥2,830です。(遊び心の価格設定)完成品が欲しい方は別途お問い合わせください。

2018年3月8日木曜日

5石のディスクリートオペアンプ

simply DOA


Quad EightのAM4やUREIのDOAなどでも使われているディスクリートオペアンプの回路です。使うトランジスタが5個だけなので5石アンプとも呼ばれます。その中でも最もシンプルな回路です。(図の半導体は適当な国産半導体に置き換えてます。オリジナル準拠ではありません)


2018年3月2日金曜日

Landscape SWB-Master プリアンプ交換

今回はかなりイレギュラーな作業なのですが、お客さんのエレクトリックアップライトベース(EUB)の内蔵プリアンプを交換、及びセットアップをしました。うち、楽器屋さんとかリペアショップじゃないんですけどね…。

モノはこちらのLandscape SWB-Masterという楽器です。



見た目やスペックを見る通り、オール単板ボディに黒檀の指板、ボディもフルアコに近いホロウボディ、コントラバス用のアコースティックPUもはじめから付属ということでEUBとしてはかなり凝ったものになります。しかしそのスペックに反してかなり出音には不満がある…ということでの相談でした。

さっそくうちの作業部屋に楽器を持ち込んでいただき、現状のサウンドチェックを含めて私のほうでも触ってみたところ、以下の問題点がありました。

・とにかく音が小さい
・それ故にs/nが悪く、ジーというノイズが常に出ている
・内蔵プリアンプのEQが使いづらい
・太い弦を強く弾くとピークで音が歪んでしまう

こんな感じです。ちょっと…というよりは全体的にだいぶ問題がありますよね? 特に最初のs/nが悪いというのが特に致命的で、元々s/nが悪いうえに出力がかなり小さいので、そのぶん後続のアンプやDIでゲインを上げてやらないとバランスが取れないのですが、そうすると余計にノイズまで増幅されて大きくなってしまい…という一番悪い状態です。

強く弾くと音が歪んでしまうというのは、コチラのyoutubeに上がっている動画が分かりやすいと思います。


4弦を強く弾いたときにブオッ!というか少し歪んでしまっているのが分かるでしょうか。実際にこんな感じなのです。プリアンプの設計上の問題なのかヘッドルームが狭すぎるようですね。

さて文句ばかりも言っていられないので、改善策を考えましょう。上記の問題を全て改善するには電気的な部分を全てに手を入れる必要があります。作業前にネットで検索をしてみますと、同じ悩みを抱えた人がプリアンプ基板の部品を交換することで音質の改善を図ったという例が出てきましたがお茶を濁す感じの対処法ではなく、やはりプリアンプ本体を完全に一新し根本的に電装系をやり直すということにしました。

ちなみにオリジナルのプリアンプ基板はこのようなものです。




ざっくり解析したところ、まず2種類のピックアップがJ-FETのバッファーを通ったあとにブレンド回路で信号をmix、オペアンプを使ったBAX型EQ回路を通過して出力、といったもののようです。コンデンサもWIMAのMKS2(赤いもの)などが使われていますしそれなりに気合の入った設計のようにも見えるのですが、音のほうはお察しの通りです。どうしてこうなってしまったのか…。これはこのまま外してしまいますが、電源や出力の配線は流用しますのでしっかりメモしておきます。

新しくプリアンプはSapphire OnboardPreampをベースに初段バッファーの石や定数を変更したものです。実はこのプリアンプ、基板はそのままで部品を数点変更するとエレキベースだけではなく様々なソースに対応できるように作られているんですね。(こういう所まで考えています)そして元々マグネットPUは使い所がなかなか無いということで、ラインからは外してしまいフィッシュマンのピエゾPUオンリーで出力するということに。余分なmix回路や抵抗も省けますので、音質アップも期待できそうです。



コントロール部分は元々ブレンダー、ボリューム、ベースEQ、トレブルEQという4つのツマミを使うレイアウトでしたが、ブレンダーは不要になったので端に追いやってダミーとし、ボリュームに2バンドEQというシンプルなコントロールに変更しました!(見た目は変わってないですね)

さて、全ての配線を直して楽器内部に収め直します。その出音は……??


・・・・・

……ノイズが全くと言っていいほど無くなりました!
これは大成功です!!

さらに音質もピエゾとは思えないほど豊かで肉厚になり、生々しい音色に。

Sapphire OBPの特性からしてs/nが大改善するのは想定の範囲内でしたが、音色も飛躍的に良くなったのは予想外でした。これは良い予想外です。個人的にピエゾタイプのピックアップは音の輪郭を拾うのは得意でも圧感素子の特性上、細くてカリカリした音色になることが多くさして期待はしていなかったのですが、肉厚な音色でしっかりと弦鳴りとローの太さが両立しています。恐らくPUのすぐ近くで高品質なバッファーでローインピーダンス化したことによって今までロスしていた部分もしっかりと再生されるようになった…からではないかと思います。結果的にかなりアコースティックな音色になりました。

輸入代理店さん、新規設計する際にはうちのプリアンプを是非採用してくれないかな……と思いつつ今回の作業は終了です。他社製のアップライトベースに組み込みもOKですよ!