2021年11月23日火曜日

電流伝送フォノイコライザー

電流転送方式フォノEQアンプ


かつてアナログ・オーディオ最盛期の80年代初頭には様々な新技術や斬新な回路を導入した製品が存在しましたが、その中のひとつとして電流伝送方式のフォノイコライザーアンプがあります。

電流転送方式はMCヘッドアンプ部分に採用されたもので、MCカートリッジが拾った微弱信号をアームやケーブルを介する前にヘッドシェル部分でバッファし、更にそれをFETのドレイン側から電圧モードではなく電流モードでイコライザーアンプまで接続します。

カートリッジの直後からEQアンプ本体までは電流モードで信号が送られますから、電圧モードと比較して非常にローノイズになります。またアームやケーブルの容量成分による影響も受けにくいので情報量が多くフレッシュな音が得られるというメリットがありました。

この技術はヤマハのMC用フォノイコライザーHA-2とHA-3で採用され、一世を風靡しましたが、電流変換するためのFET(サテライトアンプ)が内蔵された専用のヘッドシェルが必要とされていたため、その純正シェルの供給が途絶えると共にオーディオの歴史からは徐々に姿を消していきました。

その後オーディオ自作勢によってこのようなIVCA(電流電圧変換アンプ)はいくつか開発されたものの、希少な高gmのFETが2ペアと専用のシェル必要というのが仇となって未だに再興はしていません。


しかしあの素晴らしいサウンドをどうにか体感する方法はないかと以前から考えていました。

ただ専用のシェルとなると開発の費用も高く、サテライトアンプをセットで販売するにしても取り付けやセットアップが普及の障害になる…と思いました。

そこで考えたのがシェルではなく、トーンアームの根本…フォノケーブルのコネクター部分にサテライトアンプを内蔵してはどうだろうと考えています。これならば取り付けが簡単ですぐにセットアップが完了できます。

このアイデアはまだ未完成ですので、製品化にはまだほど遠いですが、いつか実現したいと考えています。


2021年11月10日水曜日

TFDI-02の仕様変更について

今月の出荷分からTFDI-02の基本仕様を変更させていただきます。




基本的には筐体の変更のみで、アルミダイキャストの筐体からアルミ板金筐体になります。

これについては、以前から生産効率面で検討していましたが、近年のパンデミックに伴う金属原材料が入手困難になっている状況を踏まえて決断いたしました。ダイキャストのケースは生産元の海外から輸入で仕入れますから、今後入手が不安定になる可能性がありました。(新型のケースは国内の工場で加工済みの状態で生産されます)

サイズは高さが一回り小さくなり、取り回しの良いサイズになっています。エフェクターボードに組み込みたい人には好都合かもしれません。(40mm+ツマミ分)





回路などその他の仕様に変更はありませんが、すべての出荷先でGNDリフトスイッチが標準装備になり、極性が逆になりました。(今まではアップでリフト。今回からダウンでリフト)

時期的に旧使用と新仕様が混在していることがありますので、在庫品の仔細につきましては、各販売店へお問い合わせ頂きますようお願い致します。

2021年10月8日金曜日

プリアンプ基板PB2520がリニューアル

PB2520


API2520互換のオペアンプが実装可能な基板PB2520がリニューアルしました。

基板サイズを大きくし、部品の実装をより柔軟にしました。

基本回路は通常の非反転増幅回路ですが、Rs抵抗にACカップリング用の電解コンデンサが実装可能になり、より様々な回路に応用が利くようになっています。

値段は据え置きのまま¥2,200です。Mill-maxソケットも12本付属します。

購入はwebshopから。

この基板で使用できるFDOA-02も在庫しています。よろしくお願いいたします。

2021年9月15日水曜日

ドライバー段トランジスタ考察



アンプのドライバー段用トランジスタというと、一般的には中電力トランジスタと呼ばれることが多いと思います。小信号用よりも電力を流せるTO-220のパッケージに収まっているものが多いです。プリアンプでは出力段にも使われます。一般的にパワートランジスタと呼ばれる大電力トランジスタと小信号トランジスタの中間にあたるものです。


2021年9月9日木曜日

Chandler Limited用パワーサプライ

Chandler LimitedGermanium SeriesTG-2などで使えるパワーサプライ(電源ユニット)を製作しました。




オリジナルのパワーサプライはPSU-1という名前で市販されていますが、別売りにもかかわらず電源回路は非常に低クオリティでした。

特に初期型のPSU-1は整流後の電圧より耐圧が低い電界コンデンサが平滑に使われているなど、構造的に耐久面でも問題があったことは海外のフォーラムでも有名だったと記憶しています。特に電源やコンデンサのローコストを徹底しており、ウィークポイントにもなっているように感じます。


当方のパワーサプライではまず耐久性の高い部品をチョイスしています。整流ダイオードもショットキーバリアダイオードを標準とし、平滑用コンデンサから抵抗まで選別品を採用。電源として大幅にグレードアップ(むしろこれが標準)しています。

もちろんリニア電源ですので電源トランスは電力効率の良いトロイダルトランスを採用しています。

製作は¥66,000より承ります。

電源を1段階グレードアップしたい方、もしくは並行輸入品などでオリジナルのパワーサプライが入手できない方にはおすすめできます。

XLR4pinケーブルも必要な場合はそちらも製作可能です。


※現在電源製作に必要な一部の部品が入手困難になっております。納期や製作可能かどうかについては、お問い合わせください。

2021年7月18日日曜日

LEDR-01発売日決定&予約開始

 

LEDR-01


ディスクリートパワーサプライLEDR-01の発売日が7/30に決定しました。

ご予約はこちらから。

予約特典としてオリジナルのDCパワーケーブルPower Vesselが2本付属します。


LEDR-01について

本製品についてですが、主にエフェクト・ペダル向けの+9Vパワーサプライです。

当方のMark Levinson用ディスクリート電源MLPS-01と同じくオールディスクリートで組まれた無帰還レギュレータを内蔵しているのが特徴です。

市販品のほぼすべてのパワーサプライはレギュレータに3端子レギュレータというICを採用しています。(317シリーズ、78xxシリーズ)市販品は使い勝手重視ですので、電流の最大容量や出力数確保有線の設計になっていますから、これはある意味仕方のないことです。

しかしFloatia Designsではかねてより音声回路だけでなくディスクリートで設計された電源回路の研究も続けており、電源もディスクリート化することで音質が大きく向上することを発見していましたので、それをエフェクト・ペダルにも転用できないかと考えていました。約1年の研究を経て製品化に至りました。

LEDR-01は音質追求タイプのパワーサプライです。使える電流量や出力数は少ないですが、是非ディスクリート無帰還レギュレータの効果を体感してください。


※+24V仕様のLEDR-024は第3四半期中には発売予定です。もう少々お待ち下さい。

2021年6月14日月曜日

LEDR-01 パワーサプライ近日発売予定

 


ディスクリートレギュレータを内蔵した+9Vパワーサプライ、LEDR-01を近日発表いたします。

(+24V用レギュレータLEDR-024も開発中です)

続報お待ち下さい。

2021年4月17日土曜日

2.1mmDCパワーケーブル Power Vessel発売開始



主にストンプボックス(エフェクター)用に使用できるDCパワーケーブル、Power Vesselが発売開始しました。

音質と使いやすさに重点を置いたオリジナル・パワーケーブルです。


詳しくは製品ページにて。


ラインナップとしては3本セットと5本セットを用意しました。長さは30cmです。

購入はwebshopからお願い致します。

2021年1月29日金曜日

TFDI-02 Bipolar Version

TFDI-02 B.P version


既に定番化しているD.I/プリアンプ、TFDI-02のヴァリエーションモデル TFDI-02 Bipolar Versionがラインナップに追加されました。

TFDI-02の入力素子はJ-FETを採用していますが、本モデルでは通常のトランジスタ(バイポーラトランジスタ)を採用しています。

差動ディスクリートアンプ2段に出力トランスという基本構成はまったく同じですが、入力素子がトランジスタになったことでバイアス回路の定数を変更しているため、入力インピーダンスはオリジナルより低い120kΩとなっています。オリジナルのFET入力と比較するとウォームなサウンドになっています。こちらのほうが好きという方もいると思います。

外観上の違いとしてパワーLEDはオリジナルのに対してこちらは緑色です。

webshopでのみ注文可能な受注生産品となっています。(納期3週間前後)

よろしくお願い致します。



ベースプレイヤー巌信一郎氏によるレビューです。