初期型 990オペアンプ |
API2520と比べると日本で知名度はさほどないJohn Hardyの990オペアンプです。
しかし世界3大オペアンプに数えられるほどにサウンドは強力です。
2520と同じくディスクリート構成で、ピン配置も同じなので受け側のソケットが同じものならば互換性のあるコンパチ品です。(動作電圧には注意してください。後述)
John Hardyと名を冠していますが、このオペアンプも2520と同じくDeane Jensen氏が設計に関わっており、画像のスケルトンレジンタイプは後期のAPIコンソールにVCAと一緒に実装されていました。
回路の構成はもちろんディスクリートによる差動アンプなのですが、特徴的なのが初段にデュアルのメタルキャンTrを採用しており、その共通ソースにアイソレーション用のアイソレータ(コイル)が入っていることです。この990を設計したあたりからJensen氏は頻繁にこのアイソレーション回路を採用しています。(現行の990cだと出力段にもこのアイソレーション回路が追加されています)
増幅段2段目は初段のコレクタ抵抗の片側からだけ取り出さえており、これはQuadEightの回路と似たような構成になっています。
ドライブ&出力段はメタルキャンTrではなく、モールドパッケージの低周波用TrのSEPPで出力する構成です。このあたりはAPIやQ/Eとも違いますね。
またAPI2520と同じくロットによりバージョンがあり、990、990a、990cと続きます。現行品の990cは幾つかの定数変更があり、定電流回路の抵抗値やダイオードが変更されています。990cは電源電圧を±24Vで駆動させることができるようになっているのでヘッドルームが格段に向上しています。
無印の990(APIコンソールに搭載されていたもの)は電源が±15Vが定格とされており、API系のプリアンプにそのまま使おうと思って±16V以上掛けてしまうと壊れることがりますので要注意です。
音質ですが、ヘッドルームは現行品の990cほうが広く、ハイレンジまでシャキっと粒が見えるような音ですが、初期の990のほうが全体的にスムースな音色で色気があるようにも思います。
このオペアンプにJensenお得意のDCサーボ回路を付属させると、まさにJohn HardyのHAと同じ音になります。