電流転送方式フォノEQアンプ |
かつてアナログ・オーディオ最盛期の80年代初頭には様々な新技術や斬新な回路を導入した製品が存在しましたが、その中のひとつとして電流伝送方式のフォノイコライザーアンプがあります。
電流転送方式はMCヘッドアンプ部分に採用されたもので、MCカートリッジが拾った微弱信号をアームやケーブルを介する前にヘッドシェル部分でバッファし、更にそれをFETのドレイン側から電圧モードではなく電流モードでイコライザーアンプまで接続します。
カートリッジの直後からEQアンプ本体までは電流モードで信号が送られますから、電圧モードと比較して非常にローノイズになります。またアームやケーブルの容量成分による影響も受けにくいので情報量が多くフレッシュな音が得られるというメリットがありました。
この技術はヤマハのMC用フォノイコライザーHA-2とHA-3で採用され、一世を風靡しましたが、電流変換するためのFET(サテライトアンプ)が内蔵された専用のヘッドシェルが必要とされていたため、その純正シェルの供給が途絶えると共にオーディオの歴史からは徐々に姿を消していきました。
その後オーディオ自作勢によってこのようなIVCA(電流電圧変換アンプ)はいくつか開発されたものの、希少な高gmのFETが2ペアと専用のシェル必要というのが仇となって未だに再興はしていません。
しかしあの素晴らしいサウンドをどうにか体感する方法はないかと以前から考えていました。
ただ専用のシェルとなると開発の費用も高く、サテライトアンプをセットで販売するにしても取り付けやセットアップが普及の障害になる…と思いました。
そこで考えたのがシェルではなく、トーンアームの根本…フォノケーブルのコネクター部分にサテライトアンプを内蔵してはどうだろうと考えています。これならば取り付けが簡単ですぐにセットアップが完了できます。
このアイデアはまだ未完成ですので、製品化にはまだほど遠いですが、いつか実現したいと考えています。
0 件のコメント:
コメントを投稿