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Neve1073 |
よくNeve1272=1073のEQなしバージョンと説明されていることがありますが、厳密に言うと少し違います。という話です。
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1073/1272の主要コンポーネント |
ご存知の通り1272は入出力にLO10468/LO1166トランスを備え、心臓部はBA283というオールドNeve共通のコンポーネントを持ちます。これは、1073とまったく同じものです。なので音も同じ…と安直に考えがちなのですが、実際に聴いてみると印象は違いますし、マイクプリの挙動も異なる気がします。ではじっくり内部を比較していきましょう。
まず具体的に違う部分は入力トランスからメインの増幅アンプであるBA283までの信号経路です。
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Neve1073の入力部 |
回路図をよく見ると、1073にはBA283以外にゲイン補助アンプであるBA284というアンプカードを備えています。BA284にはBA283NVが3回路入っているアンプカードで、これはEQ用のゲインアップと、マイクアンプのハイゲイン設定時に使用するものです。(ローゲイン時はBA284はバイパスされます)
1073はマイク/ライン兼用のロータリースイッチでゲインを可変していますが、同時に入力信号も微妙に抵抗でアッテネートされているのが分かります。以前解説したエントリでは1272は大きな入力で音が歪みやすいという説明をしましたが、1272では入力トランスからBA283まで直結されていました。なのでここで信号が大きくなりすぎると歪むのですが、1073は絶妙に信号を減衰させながらゲインアップするのでマイク入力時に歪みにくいのです。
1073ではBA283のフロントアンプのゲイン倍数は殆どいじっていません。リアアンプの倍数も固定されています。後段のBA283はほぼゲインの固定のまま、抵抗によるアッテネートでトータル・ゲインを変化させています。1272のノックダウンは倍数そのものをいじってゲインを変えている場合が殆どですので、この点でも違いがあります。
トランス、アンプカードなどといったマテリアルは同じでも、こういった機材内部での構造上の違いが、シンプルな1272と1073などのチャンネルストリップ型の音の違いにつながっているものと推察します。
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