2016年8月25日木曜日

Quad Eight Coronado(HA/EQ) 2ch Racked



Quad EightのコンソールCoronadoからHA/EQを2chずつ取り出し、ラッキングしたQE-01が完成しました。

先日のエントリでも少し紹介しましたが、ここ半年の間に少しずつ作業を進めていたものです。
モジュールや部品はDaveGroupにご協力いただきました。

CoronadoはPacificaと並んで代表的なQEのコンソールです。
HA部分はもはや説明不要のディスクリートオペアンプAM-10を2つ搭載し、マイク入力部にはJensenから支給された特注トランスを備えます。ハイボルテージ駆動のアンプ部ですから、天井を感じさせない開放感のあるサウンドです。

EQ部分は3バンドのパラメトリック・イコライザーになっています。
このQE-01にはマイク入力だけではなく、+4dBu対応のライン入力も備えていますので既に録音したソースを一度このCoronadoに戻してイコライジングしたり、一度まとめた2mixを通すことでステレオ・サミングアンプとして活用することができますから、非常に便利です。

ヴィンテージモジュールを使用している機材ですからコンディションが気になると思います。
その点はご安心ください、モジュールの基板上にある電解コンデンサを始めとする消耗部品は予め全て交換しており、十分にレストアされています。

私の手元には既にCoronadoモジュールはありませんのでこれで最後になると思います。
気になる方はお早めにご連絡を!!

2016年8月23日火曜日

QuadEight AM-10


Quad Eight AM-10はQuad Eight社のコンソールなどに標準搭載されたディスクリートオペアンプです。

日本ではQuad Eightの知名度はいまいち低いという印象ですが、本国アメリカでは非常に高い評価を得ていたコンソールであり、NeveやAPIと並んで今でもその音に魅了され続けているエンジニアやミュージシャンも多いです。(晩年は三菱に買収され別物になってしまいました)

QuadEight回路の特徴はAPI以降の定番になっていたディスクリートオペアンプ(DOA)を軸に更にレンジやパンチ力を加えたアナログ時代でも最高クラスのものでした。いくつかあるDOAのうちのひとつでありその完成形がこのAM-10です。

見ての通り、いわゆる2520ピン配置の互換性はなく、GNDピンのない5ピン仕様で、オペアンプそのものはAPIのように基板は樹脂でモールドされていません。なのでオペアンプ内の半導体が壊れた際には交換することも可能です。海外では初段の半導体をデュアルTrに交換したり、思い切ってFETに交換したりする改造を行っている人もいるようです。

APIと同じく設計にJensen氏が関わっているので回路のデザインはJE990などと似通う部分もあるのですが、最大の特徴がハイボルテージドライブで、+-28V動作が標準となっているところです。

高い電圧で動作させるということはそのままヘッドルームが広くなり、音もクリアーになります。ラインで高レベルな入力をしてもアンプ部分では一切音が歪んだり潰れたりするようなことはないということです。単電源+24V動作のNeveはまだしも、API2520でも+-20Vが限度ですからそれ以上のヘッドルームがあるということですね。アナログ入力段で音がクリップすることがまずありえません。

+-28V動作を採用しているのはQuadEight以外だとGML(Sontec)です。GMLもマスタリングで耐えうるヘッドルームの広いアンプが必要ということで、+-28Vのオリジナルオペアンプを採用しています。

Quad EightのコンソールではJensen製のカスタムトランス(通称QE印)が標準装備されており、それも相俟ってリニアリティの高い音になっています。このヘッドルームの広さが音色に直結しているような印象で、レンジが広くスピード感がありながら、耳には痛くなく太さも兼ね備えているような…まさにアメリカのオーディオという印象の音です。

もちろんAM-10はQEでなくともマイクプリアンプやフォノイコライザーに転用すると素晴らしい音質のアンプになりますよ。体感してみたいという方は是非ご連絡を!

2016年8月22日月曜日

中古機材屋さんがやるべき本当の仕事

以前こんな記事を書きましたが、世の中の中古機材の状態は本当にひどいものです。一度メーカーのサポートが切れたあとは売り手の『売れさえすればい』状態でジャンク同然で売り買いされているのを多く拝見します。『販売』と『製造』は別のセクションだとしても、その責任のなさにあまりにひどいと思うことが多々あります。

特にヴィンテージ機材やユニットをノックダウンしたものに関して言えば、何十年も前の道具をそのままラックに押し込んだだけのようなものが殆どです。
若しくは、著名なノックダウン・ビルダーが一度セットアップしたものならその後何年経っても同じ状態で使えると思っている人が多すぎるのです。

オリジナルの古い部品が付いたままの状態

古い電解コンデンサ、コネクタ、ソケットを除去した状態

Floatia Designsでやっている作業の一例を少しだけお見せします。

こちらは先日のQuadEightの卓から取り出したチャンネルストリップですが…。
電源を付けてラックに押し込んでアセンブリしたら、完成!という訳にはいきません。
いわゆる時間経過で劣化する部品は全て基板上から一度除去し、クリーニングします。電解コンデンサの全交換はもちろん、コネクターや配線材もトラブルがないように新品に取り替えます。半導体も怪しい動きをしていたりサビが出ている場合は代用品と交換します。

新しいソケットやコンデンサに交換した状態

外された老朽化された部品

少なくともこういった処置をすることで機材の寿命は格段に伸び、完全ではなくとも製造時に近いコンディションに戻り、なおかつ故障のリスクを最小限にとどめることができるのです。

Floatia Designsではヴィンテージ機材などを販売する際には全てのものに同様の作業を施しています。
あなたが買った機材、ベストは状態をキープできていますか?
もしかしたら、20年前のまま…なんてこともあるのかもしれません。

2016年8月10日水曜日

HA-02 single



最近更新が滞っていますが、特注やら修理やらが沢山来ているのでなかなかコラム的なエントリは投下できておりませんでした…。

といってもあまり多方面に手を伸ばしすぎても良くないので、急ぐべきはオリジナルディスクリートHAの開発でした。

そんな訳で、新設計のマイクプリアンプ/DIのHA-02、先行バージョンが完成しました。
今回はお客様のご要望もあってシングルchバージョンを製作。今後レギュラーでは2ch仕様が標準の予定です。
特注のブルーアルマイトが綺麗に仕上がりました。

詳しくはHA-02のページを参照してもらうとして、ディスクリートアンプ部の設計は大変でした。
基本的にQuadEightのようなハイボルテージで動くアンプを作りたかったので、差動回路を+-24V用に新しく設計する必要がありました。
また、今まではヘッドアンプ部がデュアルFETを使っていましたが利得の余裕や音色の面でHA用のものとしては不満があったので、低雑音のバイポーラトランジスタで設計をし直すことになりました。

もちろん、ただ設計し直すだけならば良いのですが、いわゆるディスクリート部品もリードパッケージは今はもう殆どディスコンになっていて…これから継続的に同じモデルを作るとなると石の入手性が課題でした。結局NPN/PNPのペアには某社が作っていた海外製のセカンドソースものが安定して手に入ることが分かり、それを使用することに。

ともあれ、手前味噌ながらサウンドは非常に素晴らしいです。
ディスクリートの繊細さと太さ、空気の臨場感含め、バランスが絶妙となりました。

入力トランスはCarnhil製とJensen製を選択できるようにしています。
どちらも自作のエージング治具で音色をコントロールすることにも成功しました。

興味がある人は是非お問い合わせください。