2017年2月22日水曜日

クローン機材の落とし穴?


プロオーディオの世界でも、古くから誰しもが認める名機と謳われる機材がいくつもあります。
いわゆるヴィンテージ機材と呼ばれるものです。



しかしヴィンテージ機材と呼ばれるものは製造された年代が古く、製造台数も少ない訳ですから必然的に2017年現在それらは非常に高額なアイテムとなっています。
大手レコード会社系の大型レコーディングスタジオであればひとつふたつ常備されているのが普通ですが、小規模なスタジオやプラーベートスタジオではひとつの機材に大きなコストを払うのは難しく、最近ではそれらを模したクローン機材の導入などでお茶を濁すことが多いようです。

その模される(コピー元となる)機材の殆どがマイクロフォンだとNeumannやTelefunken、プリアンプだとNeveタイプで占められています。

クローンを製作している会社は海外を中心にかなりの数があり、プロオーディオのメーカーの中にはほぼクローン製品専門の会社もあるくらいです。DIYの文化が盛んなアメリカでは様々なクローン基板なども頒布されており、個人で色々な名機のリビルドがされています。

プロオーディオの系の販売店に行くと店頭には必ずそういった機材がありますし『ヴィンテージサウンドの再現!』とか『○○に限りなく近いサウンド!』はちょっとしたブームのようです。

ただ疑問に思ってしまうのが、その機材の実際の善し悪しではなくオリジナルの機材と似ているかどうかに話が終始していることです。(デジタル環境の再現系プラグインなんかもそうですね)

例えばうちでは実際にヴィンテージ機材を多く扱っていますので「○○の△△ってオールドに近いって言うけどホント?たしかに良いような気はしたんだけど…」というような質問をよく受けます。それに対し僕が言う返答は決まって「うん。まあ似ているのかもしれません。でも、実機の音と比べました?」と返しています。そうすると、みんな黙ってしまうのです。

例えばU47が〜、Neveが〜、と皆口々にしても実際の音を知らないのにネットや情報誌で植え付けられた“名機”のイメージで語ってしまっていることにちょっと危機感を覚えています。名機だから音は良い、その名機のクローンだから音も良いだろう、と間接的な印象で手に入れる動機を決めてしまっていることが実際多いんですね。

そもそも古い機材の音が必要なのか。そして自分にとってexcellentで、なおかつ代用品でも同じクオリティが得られるのか…とじっくり冷静に考えてみると本当の答えは出ると思います。(勿論、コピーものではなくやっぱり実機だ!となればそういうお手伝いもうちではしています)

良いかどうか自分ではジャッジできていない機材を、噂や販売店の謳い文句で購入していませんか?

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